(○・∀・)ノ マイド!!ジェネです。
前回掲載したシフターの解体メンテナンス編が好評でしたので、今回はMcLean GT3ステアリングのレプリカモデルの解体メンテ編と題しまして、私が何度か修理依頼のあったコイツの分解方法並びに、シフトの不具合(入りにくい等)の改善にお役に立てればと思いましてブログ記事として掲載したいと思います。
◻️McLean GT3レプリカの特徴として
FANATECは過去を振り返りましても、いろいろなブランドとコラボレーションしている事は有名な話です。少しオリジナリティを混ぜたモデルもあったりします。今回のMcLean GT3ステアリングも、そのひとつであります。
標準ではクイックリリースボスは付属してません。オプションでの購入になります。特徴としては外観はカーボン調の梨地にはなっていますがエンプラ(エンジニア・プラスチック)を採用しています。よってレプリカモデルでありながら比較的安価な値段で販売されていました。
破損パーツを熱溶着して修理した事がありますが、臭いからして恐らくポリプロピレンではないかと推測します。
非常に軽量に出来ており、ステアリングフィールはFFBに対してタイト且つソリッドな質感。グリップにはラバーを採用しており、握りも太めなので使用感は良好。パドル操作は中心部の支柱を軸にシーソーの様に動く構造をしており、ストロークも短く、コチコチと子気味良いシフトフィールを得られます。
セカンドにアナログのレバーが備わってますのでスタート時のアドバンテージもあったりします。
以前にブログ記事として掲載してますので詳しくはそちらを参考にして頂ければと思います。
(o_ _)o
GT好きなユーザーならこのレプリカモデルは魅力的に映るのではないでしょうか。
◻️実はパドルやボタン部の作動不良があったりする
「こんなもんかな?」と思って使い続けているユーザーも多いと思います。重篤な症状はパドル操作をしても反応が悪かったり、シフトしなかったりとシフトミスが頻発します。ボタン類の反応も悪かったりもするので、それは幾つか原因としてあります。
御存知の方もいらっしゃるとは思いますが、この辺の症状をFANATECに問い合わせても、ファームウェアは最新か?とか、動画を添付して下さい·····とか、少々たらい回し感があって対応が悪かったりもします。業を煮やして諦めた方も多いのではないかな?と思います。泣き寝入りでそのまま使ってらっしゃるとか、ステアリングそのものの使う頻度が減ってるとか·····その様な相談はお聞きしてたりします。
そして、保証期間が切れてしまうという。
◻️解体修理という手段
あまり個人的にはオススメ出来ません。他のメーカー製を含め、私を含めて解体修理した実績のある信頼性のある方に依頼する方がリスクは少ないです。ここで言うリスクと言うのは、エンプラを使っているので無理に行おうとすると破損する可能性が高いからです。
特にシフトフレームの中心部にある支柱近辺は肉厚も余りなく、薄いので固定ピンを無理に拗ろうとするものなら割れる危険性はありますね。使ってる内に割れてたという情報も稀にあったりします。
◻️解体修理メンテ編~正常な状態に戻す
ここで御紹介するのは私が解体メンテしている、ひとつの例としての解説です。何かのヒントになると思いますので記録として残します。
因みに私は過去に4本+自分のステアリング1本で計5本の修理・初期不良対応、又は改善を含めて実績があります。ここではパドルに特化したご紹介になりますが、後に触れるボタン類に関しては個々のユーザーに起きている不具合には有効かも知れません。症状はケースバイケースですから、どこまでの範疇が合致しているのか?メンテの文面と照らし合わせて各々で判断して頂ければと思います。
※尚、自己責任で解体メンテするので保証は効かなくなります。仮に代替品のリクエストが通ったとして新品が到着したとしても同じ不具合があったりしますので参考までに。
では、解体メンテして行きましょう
先ずはトップに刺さっている金属のピンを抜きます。簡単には取れませんので、先ずは先の細いマイナスドライバーか何かで2mmほど浮かせます。底からは浮いたスペースにニッパーなどを使っててこの原理で優しく抜きます。
パドルを外すとボタンにスプリングが嵌ってますが乗っかってるだけなので簡単に取れます。
本体を表にしてダイヤル部と印字してあるボタンカバー類を外していきます。嵌め込み式なので簡単に外れます。
各種ボタン類を外す前に写真を撮っておくと戻す時に困らずに済みます。それは解体部分ごとに撮られるのも良いかも知れません。ゴム製のON/OFF/ONスイッチ(黒ブーツでトップが赤キャップ)は傷が付かないようにティッシュ等を重ねて小さく折り畳み、ラジペン等で優しく摘んで引っ張れば簡単に取れます。ダイヤルパーツも固くて取りにくい時は同じ方法でやられても良いと思います。
ダイヤルとゴムキャップを外すとリングネジが顔を出します。ソケットレンチで優しく緩めて下さい。尚、締める時は緩み防止にストップリングが合わさってますので手締めで大丈夫です。
表面パネルのネジを全て外して下さい。規格は六角レンチではなく、海外製品によく見られる異型のレンチを使います。この辺の規格の工具は、最近の工具セットには大凡入ってたりしますね。
全てのネジを外したら、いよいよ内部の作業へと移行します。
ボタン類が付属している表面を下にしてボディを外すとボダン類が脱落する事はありません。
表カバーを外すとこんな感じです。四角く白いものはシリコンカバーなのですが、嵌め込んであるだけなので簡単に外れます。傷を付けない様に丁寧に外して行きましょう。
ディスプレイ下部にネジ2本がありますので、そこから外していきます。センター下部の配線裏側にネジがありますが、配線を指で軽く押すことで避けれます。残りの基盤を固定しているネジを外していきます。
基盤をそっと裏返しすると金属の湾曲板のスイッチが顔を出します。接点はこの中にありますが、シールされていますので剥がさないと中は見れません。この湾曲板の貼り方に微妙なズレがあったりします。指で押してみてケックンケックンと音が鳴りますが左右の固さを確認します。
因みにこのタイプはCLUB SPORTのステアリングにも同じものが採用されてます。
基板に薄く白い靄がかった汚れがある場合はシロキ酸が滲み出ていた可能性はあります。実はこのシロキ酸が曲者で、電子部品の接点不良を誘発してたりします。これを固く搾ったウエットティッシュなどで優しく丁寧に、汚れと共に拭きあげていきましょう。大体はここまでのプロセスで直ったりします。
ここであまり素人さんにオススメ出来ないのが、この湾曲鋼板を剥がすという作業になります。
固定しているテープをカッター等で端部から優しく剥がしますが、粘着部分に指が触れてしまうとタック感(粘性)が無くなってしまいます。再び貼り付ける際にくっつかないというトラブルが発生しますので御注意下さい!仮に経年劣化でテープと粘着シールが固くなっている時が稀にあります。10~20μ以下ほどの厚みよある透明テープがあれば、一応、代用は効きますが、強く貼ると戻りのバランスが悪くなるので優しくピンセット等で端部を触りながら丁寧に貼り、全体的な仕上げはガーゼかウエスなど柔らかいもので撫でながら空気を押し出す様に貼れれば問題は無いかと思います。
※ここの部分の作業に自信が無い方はスルーして下さい。
ここでひと工夫!実はボタンに刺さる様にくっついている柔らかいゴムダンパー。これが柔らかめなのもあってか、スイッチを押し切らずにケックンケックンと反動を伝えるもんだから誤作動起こしてる、又は反応しないという誤認識が発生しているケースもあります。このゴムは引っ張ると簡単に抜けますので一旦外しておき、この表面積に近しいもので底上げしてあげるとシッカリとした押圧が伝わる様になるので誤認識を防げたりします。
私の場合は1mm程度の硬質ゴムか、アクリル板を丸くポンチで撃ち抜いたモノを、このケースに下敷きした後にゴムを差し込む事で下駄を噛ませてたりします。
丸ポンチが無ければはみ出さない大きさにカッターかハサミを使って加工したものを流用するのも良いと思います。
各ボタンにこの様な細工をする事で確実なボタン認識を得るようになったりします。材質は固いものか、若干の弾性のある材質なら大丈夫だと思います。
さて、ここまで来たら、後は逆の手順で組み上げていきます。
パドル固定前まで組み上げたらトップの穴に再び金属のシャフトを刺すのですが、パドルの穴には軸ブレ防止の安易なプラガイドが付いています。
シャフトの入りが渋いからといって無理やり入れようとすれば破損します。そっとトントンと真っ直ぐにプラハンマーなどで軽く叩きつつ差し込んで下さい。
これで完成です!( ´・∀・`)b
◻️その他・修繕策として
実はパドル部分に関係する事ですが、このガイド部の擦り減りや歪になっている事が原因でパドル操作の際のボタン認識が甘くなる事があります。パドル操作をした際にシーソーの様に動くのですが、よく見ると、ほんの若干傾いた状態で押されている事があったりします。
私の場合はケースバイケースで、ここでちょっを細工します。
トップ側のパドルの隙間に1mm厚のワッシャーを入れ、トップシャフトは使わずに、穴に同系の規格の六角穴のネジを使うことがあります。ネジを嵌め込む前にスプリングワッシャーとワッシャーを組み込んでおいて、ネジ止めするといった手法です。
こうすることで遊びもガタツキも殆ど無くなる事がありますので、パドル操作をした時に経年でガタツキが出ている個体には有効な手段だと思います。
エンプラで出来ているボディですから、そのまま捩じ込んでも固定出来ます。
今回、御紹介に使ったものは修理依頼を承ったモノで、参考までに写真を撮りつつ作業を進めていました。よく見たらシャフトエンドの支持部に亀裂があったので、高温で熱したコテで溶かしてその部分を溶着して対応しました。ボンドで付けてもいつかは割れてしまうので、私の場合は今回も溶着するといった手段で対処しました。
成形金型からの離型後の歪み、生産ラインで組み付ける際のバラツキや、設計する上での小さな不備で小さな欠陥が起きることはあります。そこは各メーカーさんのコスト意識も相まってどうしても甘い箇所ってあると思うんです。
現代の自動車産業とかにも言えますが、同じ様なところでコストの削りどころって日本車的にもあって、俗に言うハズレ個体と呼ばれてしまうものになるとは思うんですが、ハンコン用の関連機材も高い買い物ですから健全に使いたいですよね!
日々、この様なトラブル改善や生産性の設計に携わる事が多いので、他者さんからも相談される事が少なくありません。
ハンコンだって同じ様な御悩み抱えたまま走り続けれる訳でもありませんから、微力ながらこの様に皆様へヒントめいた事をブログとして書き綴っておりますが、何かしらが合致し、改善出来たら幸いと思っております。
もし、今回のブログ記事として参考にするならば、修繕作業は焦らず、じっくりと時間を掛けて丁寧に行って下さい。
無理矢理行うと破損の原因になりますので御注意を!!
\_(・ω・`)ココ大事
今回はこの辺で!また!
アディオス!!( -`ω-)b💕