GenesisPlanA’s diary(ジェネシスプランA・ダイアリー

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"MOZA Racing R16&R21 "vs "FANATEC Podium DD1&DD2"/2ブランド上級機種対決!/特徴と比較レビュー

マイド!

ジェネです。

 

さて、今回は何だかモノモノしいタイトルになっておりますが、そのお題目通り、MOZA RacingとFANATECのDD(ダイレクトドライブ)対決になります。

DDは他にもブランドがありますが、FANATECを意識している感が大いにあるMOZA Racingについてのみ触れていこうと思います。

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他社ブランドについてはMOZA Racingよりも、FANATECに近しいくらいの互換幅の広さや、質感としては上回っているCAMMUSや、互換幅は無いけど、ここぞという部分においては支持率の高いSimucube2、そしてSIMAGICやその他各社は存在しますけど、ここは敢えて二社ブランドに絞って記事にしたいと思います。

 

FANATEC Podium DD1/DD2

やはりFANATECといえばコンシュマーにも対応したハンドルコントローラーの王様。これは過去にも記事に触れていますが、トーマス・ジャッカーマイヤー氏=endorが長年付き合ってきた家庭用ゲーム機にもマルチに使えるハイエンドコントローラーの老舗的なブランドなのである。

現代において上位機種であるPodiumシリーズの存在がある。

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DD1とDD2は出力差があるが、体感的なFFBフィールは差が無い。

ただ、リリース当初から電源関連の設計面的なものが起因した故障トラブルは発生していたものの、最近では聞かなくなりましたね。

 

◆メリット

レーシングSIMやレースゲームに至るまでの互換性が相当高く、一部の旧いゲームにおいては互換モードでも既に動かないモノの、かなりな数をカバーしている。

特殊なパッチの細工も要らずに、手に入れたその日から気軽にプレイできてしまう利点を持つ。

体感できるFFB(フォースフィードバック)は優等生であり、フラットな体感イメージ。特に癖も無いので素直にプレイできてしまうだろう。

 

◆デメリット

しかし、最近のレーシングソフトは物理的な動きがリアルな感じになってきており、如何せん物足りなさを感じてしまうユーザーも居るとは思います。

安価なパーツも取りそろえるが、Podiumクラスとなると強化パーツが必須になる。ロートルクモードで作用するけれどもPodiumのスペックを活かすならフルトルクモードでのプレイをしたいところ。つい最近、クイックリリースが新型のQR2へとシフトしたためコスト面においては投資が大きくなるのでマイナスな面が見えてくるだろう。

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丁度、転換期を迎えている事もあり、新機種ではQR2を実装したホイールベースが発売されたものの、ステアリング側は旧QR1のままなのでメス型のQR2も同時に購入しないといけないので割高感はある。そして以前から継承されているピンでの接続方式も気になるところ。

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ブランドイメージ的に少し前までは高嶺の花だったFANATECブランドではあるものの安価帯のDD登場により、多くのユーザーを獲得している。Podiumシリーズに関しては上級機に属するのでピークトルクがDD1(20Nm)、DD2(25Nm)と驚異的なシリーズもラインナップとして揃える。もともとベルトドライブの上位機種であったCSW V2.5の上に位置するグレードであり、実は今どきDDの中でも設計が古くなってきている。

 

MOZA Racing R16、R21

ここ近年において勢いのあるMOZA Racing。FANATECが安価帯DDをリリースすると当然の様にMOZA Racingも同等帯のグレードをリリースしており、誰が見てもライバル視しているかの様な動きを見せる。デザインや機能美は凄く優秀で、ビジュアル的にも飽きさせない派手な演出も魅力のブランドである。

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R16とR21はモーターの出力差があるが、体感的なFFBフィールは差が無い。

カラーもブラックとオレンジのラインナップはあったが、最近はブラックのみが流通している傾向。(私も一時オーダーするのに問い合わせていた節があるが進展なしだった)

 

◆メリット

MOZA Racingを選ぶメリットとしてはビジュアル的なカッコよさもあるだろう。兎に角魅せるようなデザインを得意としている。R16とR21は同一媒体なのでダッシュボードは共通の接続方式で装着する。名前はトルク値から来ている。

初期のRシリーズは独特で派手なデザインのステアリングで登場したが、最近の10NmアンダークラスのDDと共通部品として使え、マルチに扱えるカッコいいデザインのステアリングが数々登場している。

QR(クイックリリース)システムもトラブルの少ないピン先でタッチするスタイルであり、今どきな設計になっているのでトラブル発生率としてFANATECと比較するならば安定的。

トータルコストを浮かせてハイトルク帯のDDを手に入れたいなら選択肢としてMOZAは悪くない選択だと言えましょう。

 

◆デメリット

唯一の大きなデメリットと言えるのはFANATECと比較するなら互換性の狭さがネックになる。SIMAGICよりは広く、CAMMUSよりも互換性が無いというイメージで捉えて頂いても良いでしょう。

ステアリングの左右はアサイン(割り当て)は認識としてできるものの、ゲーム内においてはFFBが無い!というモノもある。この辺に関しては手に入れたユーザーにとっては不満は出る可能性があるものの、こういったトラブルを改善するにはMOZA Racingの公式ディスコードに入り、情報を得て、自身が対応しなければならない。要は初心者だと少し苦労する可能性が有るという事だ。

しかし、最近においてはMOZAのユーザーも増えたため、同じものをプレイする人が周りに居るならば情報交換し共有出来るようにはなってきている。仲間が居れば安心出来る。

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FFBを含めた体感差

何方も数値的には大きな差は無いものの、体感的な力の強さの差はPodiumとMOZA差ってその数Nm程度の差なので、それほど気にするポイントでは無いと個人的には考えます。

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FANATEC製品はPodiumを含めて、敢えてMOZAと比較するポイントとするならば、FFBの演出アプローチが違う。Podiumではフラットなパワーの立ち上がる感じでモリモリと来るものの癖らしい癖が殆ど無い。これは良いのか良くないのか判断は個人に委ねるが、人によっては物足りなさを感じるだろう。モーター感がモロに感じてしまうのでDD特有の直結感は感じるもののリアリティーを感じるか?というとそういう傾向のものではない。

あと、FFBセッティングを弄ってもそれほど大きく変わったという体感的な変化も掴みにくく、セッティングによっては、コントロールしている車両の限界が低くなってしまったりするので間違った傾向で調整すると逆にタイムが落ちるなどといった事もあったりする。

 

少し面白みに欠けるが、よく言えば「素直」といった感じ。

 

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MOZA Racingはどちらかというと過剰表現スタイル。それは例えばサーキット走行中に縁石を踏むとSimucube2みたいなガツガツとした過剰傾向の演出をする。場合によっては痛いくらいに感じるので部分的にエフェクト部分を弄って穏やかにしてあげると少しは治まる。

あと、タイヤがグリップを失う瞬間からのインフォメーションがFANATECよりも感じやすいのでとっさのリカバリーも瞬時にやりやすいと言えましょう。

特にその辺を感じ易いシーンは、ASSETTO CORSA COMPETIZIONEみたいな滑った時の情報が薄いモノにはMOZAの方がまだ分かり易いんです。スコっと抜ける感覚を感じ、それに合わせて対処し易いので、そういったダイナミックな体感フィールを好むならば選択肢としてアリ!だと思います。

しかし、ステアリングを操舵する際に中間域が緩いのでコーナーリング時の切り込みで極端に表現する傾向から、体感トルクの変化が大きく、人によってはダイナミックと感じるから面白いと捉えられる場合も有りますし、「なだらかな抜け感」が、初めてのDDであっても「これがDDなんだ!」と印象付ける感じの味付けになっている感はある。

 

まとめとして

特にどちらかの優劣を決める訳ではないけれど、先に記載した内容的に感じられるフィーリングはイメージ出来ると思う。

走っててメリハリのあるダイナミックなステアリングフィールを好むならMOZA Racingという選択肢でしょうし、単純にブランドイメージを買ってFANATECという選択肢もあるでしょう。

しかし、先んじてDD業界へ参入したFANATECのPodium DDは如何せんエンコードの仕方も設計が古さを感じてしまう。

2023年の末ごろにファームウェアーのバージョンが変わったが、従来比で少しだけ滑り始めの感覚が一瞬だけ感じられる様になったという傾向もあるので、発売当初よりは面白い傾向ではある。

 

トータルコストで比較すると圧倒的にMOZA Racingが安価で済む。そこはXboxなどのライセンス費を含んでいないけれども”ラズリューション2”などの外部Add(アドオン)を購入したとしても安い。

私の場合は、MOZA Racingの場合は安価帯のステアリングを着けると、ノイジーな振動がつきまとうのでMOZA RS V2クラスのステアリングが重量的にも慣性もベストマッチ。それ以下の価格帯のステアリングは、一応対応はしているけれど、どうやらR12とかのクラス向けの様な感じがしました。

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R16、R21クラスではRS V2くらいのステアリングの方が少しマイルドにFFBを感じるのでベストマッチなのだ。

 

オンロード系のレーシングSIM又はゲームへの互換性幅の圧倒的広さはFANATEC。

ラリーSIMも嗜むけど、オンロードでもそこそこダイナミックなFFBを感じたいと考えるならMOZA Racing。

 

ただ、MOZA Racingを選択した場合はMOZAのAPP(ソフトウェア)の使い方で、ゲームスタート時にリンクさせておかないとFFBがデフォルトで発生しないという事で、互換をもたせるのにちょっとした手間があったりする。それは今後の進化でどう変化していくのか分からないが、当面の間は一工夫加えることが必須だ。

 

こんな感じです(笑)

 

個人的には永き付き合いのあるFANATECを選びたいところだが、ひと手間入るけど、ちょっとダイナミック感を感じるMOZAの方が、ファーストインパクトとしては良いと感じるのではないかと思います。

 

 

今回はこの辺で!

またね!

アディオス!!( -`ω-)b💕